私のお人形
「ママ、髪の毛切ったほうが早いよ」

私はたまらず口を出した。

二人の手が止まる。

「そうね。とてもほどけそうもないし」

「では、はさみを取ってきますよ」

神主はそう言って立ち去った。



セーラが苦々しく私を睨みつけていた。

そしてこう言った。



『私は人間になりたいんだ。それを邪魔するものは容赦しない』



ママには何も聞こえないみたい。

でも、確かに私の耳にはそう聞こえた。



セーラは敵だ。



そう確信した。




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