私のお人形
「すみません。お待たせしました」

神主が小走りでやってきた。

が、つまづいたように身をかがめる。

「大丈夫ですか?」

ママが心配そうに声をかける。

「だ、大丈夫です。…ただ、鼻緒が切れてしまって…」

神主のぞうりの黒い鼻緒がぷっつり切れてしまっていた。

「なんだか、不吉ですね」

「本当に。…このぞうりまだ新しいんですがね」



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