私のお人形
「申し訳ありませんでした」

神主は深々と頭を下げた。

私たちは本堂の奥にある客室に通されていた。

八畳ほどの和室の中央に座卓が置かれ、その周りに敷かれた座布団をすすめられる。

「でも、人形がなくなるなんていったい…」

ママが眉をひそめる。

「ええ。こんなこと初めてで、私もいったいどうしてなのか見当がつかず…」

「鍵はかけられていたんですよね」

「ええ。お約束したとおり、お祓いの時間以外は人形御殿はしっかり鍵がかけられているんです」
 
神主はお茶を一口すするとこう切り出した。

「うちの家内の妹が教会の牧師さんに嫁いでおりましてね…」
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