私のお人形
私は神主の表情が凍りつくのを見逃さなかった。

「それが…」

神主は乱暴に湯飲みをつかみ、すっかり冷めてしまったお茶を一息に飲み干す。

「お嬢ちゃんがこちらに持ち込んだ人形にそっくりのようです」

「ひっ…」

神主が言い終わる前に、ママは小さな悲鳴をあげた。

そしてそのまま言葉を飲み込んでしまった。

「あの…神主さん。どうして私のセーラにそっくりだってわかるんですか? 神主さんは教会のお人形を見たわけじゃないんでしょ?」

「13年前の話はうろ覚えで記憶に残っていたんです。確か金髪の女の子のお人形だと…。それで、お嬢ちゃんの人形がなくなってしまってふと考えたんです。その人形も金髪だった」

神主の表情はこわばったまま。

「だから教会に電話して確認したんです。13年前の人形の背中はどうなってたかって」

< 85 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop