私のお人形
帰りの車の中でママはずっと黙っていた。

FMラジオの音だけが鳴り響く。

「ユリちゃん」

「なあに、ママ」

「ごめんね、ユリちゃんの言うこと信じていなかったわ」

ハンドルを持つママの手がかすかに震えていた。

「信じられないほうが普通だもの。だからママは悪くないよ」



いくら私が口で説明したとしても所詮子供だ。

人形が動く、何かがとり憑いているなんて言ったって信じてもらえるわけない。



私だって、信じられないもの。

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