私のお人形
「セーラ、あなたは悪魔なの?」

私は不思議と落ち着いていられた。

ママの心臓の音が聞こえるせいかもしれない。

「どうせ、あの神社のおやじに聞いたんだろう。ユリが考えてる通り、あたしはただの人形なんかじゃないよ。でも、悪魔? それはどうかな? 人間が悪魔と言えば悪魔になるのか…」

「前も同じようなこと…」

「まあ、いいさ。とにかくあたしはあんたの魂がほしいんだ」

「子供ならたくさんいるじゃない。どうしてあたしの魂じゃなくちゃいけないの?」

セーラはいったんママの方に視線を移す。

そしてこう続けた。

「心に寂しさを抱えている子供。それもその気持ちを自分の中に押しとどめようとしている子供。その魂は悲しみを抱えているからね。いちばんのっとりやすいのさ。両親が離婚しても文句の一つも言わないユリは格好のターゲットなんだよ」

セーラがそういい終わる前にママが叫んでいた。

「だめよ! 私のユリを取らないで。あんたなんかただの人形のくせに」
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