鉄の救世主Ⅳ（くろがねのメシアⅣ）

小川分隊を乗せたAH-1Sコブラは、敦賀半島上空に差し掛かる。

ヘリから見ると、山中…木々の間をさ迷い歩く人影が多数見える。

こちらを見上げるその眼は、例外なく血のような真紅…。

「ディアボを確認…数は50から60」

麗華が報告する。

ヘリから見える数でもそれだけいるのだ。

敦賀半島山中には、もっと多くのディアボが潜んでいるかもしれない。

全てナノマシン兵器散布によって人体改造されてしまった、周辺の一般住人の成れの果てだ。

ナノマシン兵器は人体に入り込んだ後、凡そ72時間かけて人体をディアボに改造する。

ディアボ化してしまった人間は理性を失って好戦的、凶暴化し、耐久力や身体能力も通常の人間とは一線を画する。

人間ではなく『兵器』になってしまうのだ。