鉄の救世主Ⅳ(くろがねのメシアⅣ)
しっかりと電線を両手で摑む三浦。

電線に平行に体を預け、片足は電線に添えるようにして、体を滑らせるようにして電線を渡って行く。

「……」

摩擦による電線の切断を防ぐ為、カラビナは装着しない。

電線がどの程度の重量に耐えられるかも分からない為、渡るのも一人ずつ。

命綱もつけずに電線を渡るという危険な行為だ。

視線を下に向けると、地上を埋め尽くさんばかりのゾンビ達。

既に三浦が電線を渡っている事に気付いているらしく、白濁した眼を上向かせてこちらを凝視している。

表情のない顔が、『早く落ちて来い』『骨まで食んでやる』と誘っているように思え、三浦は身震いした。

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