Animl life ~アニマル ライフ~
「紫音…寝過ぎだよね〜」


天佑が気を使って話を振ってくれる


「本当に……早く目を覚ましてよ」



どんどん話は暗い方へ行ってしまう







ガラ

「紫音〜バナナ持ってきたよー」


いつもなら
「俺はサルか!」ってツッコんでくるのに…


紫音はベットの上で静かに寝ている


あれから…
たくさんあった管はなくなったし
ぐるぐる巻きにされていた包帯も今は頭だけ



あとは…

紫音が目を開けるだけ…




「きょん…

すごく変なこと聞いていい?」



紫音が寝ているベットの向こう側から天佑がそう言った


変な……こと?

なんだろう…



私がコクンと頷くと…………

私が一番聞かれたくない質問をされた



「きょんってさ………兄妹…いる?」





私の兄妹…………

私には……兄が…いる…


いや…………………いた…



あいつは…
家族でも…兄でもない…

私を締め付ける………………悪魔…





「……………っん………」




私が天佑の質問にどう答えようか迷ってるとき


ベットの上から小さな声が聞こえてきた




「…………紫音?」





私が呼ぶと
紫音は薄っすらと目を開けた…



天佑が「先生呼んでくる!」と病室を出ていった




「紫音……うぅ……よかったぁ……」




紫音が目を開けてくれたのが嬉しくて

涙が止まらない…




「おいおい……泣くなって……」


そう言って紫音は

私の頭に手を置いた…





その後
天佑が連絡して皆が紫音の病室へ集まった…

もちろん大地も…いる…


皆は紫音と他愛もない話をしてる

紫音は本調子じゃないみたいで
「あぁ」とか「おう」とか短い返事を返してる


でも
緑も大地も天佑も瞬も前より
明るくなったかな


紫音がいないとあの家はすんごく静かで

改めて紫音の存在の大きさを感じた



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