どうか君に【短編】
結局、ノートは半分ずつにすることになった。


俺は若干不服だが、横でノートを運ぶ優子は嬉しそうだ。


「なんで嬉しそうなんだよ」


「ん? えへへっ、なんでだと思う?」


「ふんっ、知らねぇ」


少し意地の悪い態度を取ったつもりだったけど、優子はそれでも嬉しそうに笑みを零している。


まったく、何が嬉しいんだか……


そんなことを思っていたとき、横でノートが散らばり落ちた。


「え?」


横を見ると、俺の肩の高さにあった優子の頭はなくて、優子は廊下に倒れていた。



「おい! 優子!! おいっ!!」


俺はノートを落として、優子を抱き抱えた。


意識はあるけど、ぐったりしていてきつそうだった


微熱だから大丈夫?



冗談じゃない。



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