ダブル・ブレイカーズ01


とある屋敷にて。

「お姉様」

少女は女性に向けて言った。

「何?」

女性は少女を見た。

女性は、癖のない長い黒髪をサイドに束ね、真紅のスーツをまとう、

知的な印象の女性である。

一方少女は、

ふわりとした栗色の髪をアップにまとめ、

パッチリとした瞳に、バランスの取れたキュートな美貌を持つ少女だ。

今すぐモデルにスカウトされてもおかしくない―――

いや、少女は―――――――――

「用件?」

女性は少女に尋ねた。

「えぇ。お姉様に聞きたいことがあるのです」

「下らない質問じゃないの?」

「違います。わたくしは気になるのです」

「何が?」

「宝石の盗難事件」

「で?」

「お姉様は例の力を――――――」

「お前には、無関係よ。菜月」

女性は言った。
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