氷菓子チョコレート


ぎゅっ

…!?

いきなり湊が抱きしめてきた。


「え、ちょ、ちょっと、なにすんの!なんでこんなっ…」


「なんでって…。なんか、かわいかったから?」

か、かわいいって…。面と向かって言われるとドキッとする。


「なんで疑問形…。こんなことするなんて湊らしくないわ」

照れているのを知られたくなくて、顔を反らす。

いつもと同じようにきつい言葉を言ってしまうし、湊のくせにこんなことして、とか思うけど…


でも、今はこうしてくれることが、湊がそばにいることがすごく安心させてくれる。


「大丈夫だよ、さこちゃん。新しいメンバーがどんな人か不安だよね。でもまたなんかあったら、今度は僕がさこちゃんを守るよ。」


え、なんで私が不安になってたことがわかんの?


「あははっ、なんでわかるの?って顔してるー!」



か、顔ちかっ!

そういえば私、抱きしめられてるんだった!!


「はっ、は、離してよ!」


私は立ち上がって湊を見下ろす。


「わ、わ~、ごめんって、さこちゃん!」


私の鋭い目に怖じ気づいて、湊は土下座する勢いで謝ってきた。


…まぁ、今回は助けてもらったし…。


「ゆ、許すわよ…。顔上げなさい。」


「さこちゃん…、ありがとう!」


私の方がお礼を言うのがほんとなのに…。

湊って変わったやつ。


「はぁ~、嫌われちゃったらどうしようかと思った…。」


「ん?なんか言った?」


「あ、な、なんでもないよ!」


「そう…。」


なんかボソッと湊が言ったように聞こえたように思えたけどな…。


< 13 / 14 >

この作品をシェア

pagetop