氷菓子チョコレート
ぎゅっ
…!?
いきなり湊が抱きしめてきた。
「え、ちょ、ちょっと、なにすんの!なんでこんなっ…」
「なんでって…。なんか、かわいかったから?」
か、かわいいって…。面と向かって言われるとドキッとする。
「なんで疑問形…。こんなことするなんて湊らしくないわ」
照れているのを知られたくなくて、顔を反らす。
いつもと同じようにきつい言葉を言ってしまうし、湊のくせにこんなことして、とか思うけど…
でも、今はこうしてくれることが、湊がそばにいることがすごく安心させてくれる。
「大丈夫だよ、さこちゃん。新しいメンバーがどんな人か不安だよね。でもまたなんかあったら、今度は僕がさこちゃんを守るよ。」
え、なんで私が不安になってたことがわかんの?
「あははっ、なんでわかるの?って顔してるー!」
か、顔ちかっ!
そういえば私、抱きしめられてるんだった!!
「はっ、は、離してよ!」
私は立ち上がって湊を見下ろす。
「わ、わ~、ごめんって、さこちゃん!」
私の鋭い目に怖じ気づいて、湊は土下座する勢いで謝ってきた。
…まぁ、今回は助けてもらったし…。
「ゆ、許すわよ…。顔上げなさい。」
「さこちゃん…、ありがとう!」
私の方がお礼を言うのがほんとなのに…。
湊って変わったやつ。
「はぁ~、嫌われちゃったらどうしようかと思った…。」
「ん?なんか言った?」
「あ、な、なんでもないよ!」
「そう…。」
なんかボソッと湊が言ったように聞こえたように思えたけどな…。