歌姫桜華
(では、始めっ!!!!!)
理事長のその言葉とカーンというゴングの音で、
ケンカは始まった。
みんな白組の方へと走っていく中、
私はゆっくりと歩いていた。
そんなに急いでも仕方ない。
無駄な体力を使うより、こうしたほうがいい。
「なあ、後ろでトボトボ歩いてるやつ、なんなんだ?」
和也が言った。
「さあ?ケンカ弱いんじゃないの?」
昂が和也に言う。
……そんなことを話してるなんて、
もちろん後ろにいる私にはわからない。