歌姫桜華
「え、だって、『俺』のほうが強く見えない??」
意外な答えが返ってきて、私は固まる。
え…。それだけ?
まぁ、「僕」だと可愛く見えるけど……。
そんな動機で「俺」って言ってるとは思わなかったなぁ。
「み、見える見える!」
まぁ、外見が可愛いから呼び方なんぞで見えるわけないけど。
でも一応私は頷いておいた。
そう言うと、昂は「だよなぁ」とニコニコ可愛らしい笑顔で言った。
……あ、忘れてた。
一瞬でも忘れちゃうなんて……どうかしちゃった?私。
「ごめん、昂。私午後回れないわ」
「え、なんで!?」
「――――ライブに出るの」
「ライブ?」