歌姫桜華
「和也が、運んできてくれたの…?」
「あぁ」
「重かったでしょ…私」
「いや。重いどころか軽いくらいだった」
そこは嘘つかなくてもいいのに…。ま、その優しさが和也のいいところか。
「みんなは?」
もちろんみんなとは、奏多と紺と昂と美橙のこと。
「あぁ、文化祭の片付けしてるよ」
和也がそう言って、私は今の時間を確認するため時計を見た。
―――もう、午後6時…。
あっという間だったなぁ…。私があの時倒れなければ、もっと遊べていたかもしれない。