歌姫桜華






「んー、いいけど…交換条件ってのはどう?」



「交換条件…??」






「そ。



 奏多……どうして、女好きっていうキャラなんて作ってるの?

 私、その理由が知りたい」






 曇りのない真剣な目で奏多を見つめると、奏多の顔はさっきのワクワクとした笑顔から冷静さがなくなった表情へと変わっていった。




「まぁ、言いたくなかったらいいんだけど。ちゃんとサインあげるし。……ってこれ交換条件にならないか。


 言いたくないような過去とかだったら、無理にとは言わないし」





 私だって、みんなに言えない過去を持ってるから……言いたくない気持ちは嫌ってほどよくわかる。


 だから、無理には言ってほしくない。ましてやサインのためだなんて。もっと嫌。




 でも、なんとなく知りたかった。……その理由は「なんとなく」じゃなくきっと「友達だから」。きっと、そうだ。




< 321 / 830 >

この作品をシェア

pagetop