歌姫桜華
……わかるような、わかんないような。そんな感じ。
独りになりたくない、ってのはわかるけど。離れていかないで、ってのもわかるけど。
私は、そうなっても構わない。独りは…孤独は嫌いだけど、仕方ないことだから。
甘える気持ちも大切だけど、私には守りたい気持ちの方が大切だから。
父と母が亡くなった時、甘える気持ちを捨てたのかもしれない。
「でも、美藍には他の女と同じような接し方はできなかった」
「なにそれ。私が女に見えないって言いたいの?」
冗談半分で言うと、奏多は「ちげぇよ」と否定した。
「女…だけど、なんか周りと違うっつーか。親近感がわいたっつーか。
本当の俺を見せたい、自然とそう思ったんだよ」