歌姫桜華



 入学祝いと言っても、私は別に欲しいものがあるわけでもなく。



 んー…どうしようかな、と結構な時間をかけて考えた。





「これだから女の買い物は嫌なんだ」



 とブツブツ言ってる父に母はクスリと笑う。





「……よしっ!決めた」





 そしてやっと決めたのは、桜のネックレス。銀色ですごく可愛い。




「それにするの?」



「うんっ」



「じゃあ、レジに持ってきましょ」




 そのときの私は考えもしなかった。その買ったネックレスがすぐ壊れることを。





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