歌姫桜華




 今日から冬休み。




 ――昨日まで甲羅のみんなは私の前で、影狼を潰すための作戦会議はしなかった。私は少しでも今の甲羅の気持ちが知りたかったのに。影狼への敵意を。



 私はわかりやすく蚊帳の外。



 昼休み屋上に行くと、隅で五人真剣な顔つきでなんか話していた。作戦会議だろう。美橙が私の存在に気づき他の4人に私がいることを教え、作戦会議を一旦終了させた。



 ……私は、やっぱり戦力外か。



 心の中でぼやくと、私はニコッと作り笑いをみんなに見してから屋上から去った。





 ごはんを箸でつかみ、口へと運ぶ。



 今頃、最後の確認をしている頃かな…。



 みんなのことを考えると、箸が止まった。




 私はこんなのんきに食事などしていていいのだろうか。




 せめて…せめて、見守ることくらいできないだろうか。




 “私”には何もできないけれど、見ていることだけなら…っ。



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