歌姫桜華




 …やっぱり罠だったんだ。私が忠告すればよかった。


 「その情報は、罠だよ」って。教えればよかった。





 悔やんでも、今更どうにもできないことなのに。後悔ばかりが胸にグサグサ刺される。





「私には…なにもできないの…?」




 見ているだけ。そんなの…嫌!!!――だけど、なにもできない。



 怖い。怖い。怖い。




 下唇を噛み、私は涙目で見つめる。




 奏多を起こそうと紺と美橙が奏多の腕を肩にかけ起こすが、その時を待っていたかのように、影狼のやつ一人がニヤリと笑いながら、三人の足をパイプはらってから足で奏多の手をグリグリと潰す。



「ぅあ…!!」



 残りはあと昂と和也のみ。




 でも、2人ともどこか傷を負っていて攻撃を避けるのがやっと。



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