歌姫桜華
「健吾に追い越された……。が、まぁ、…おかえり。美藍。
会いたかった」
温かく鼻の奥がツンとする晋也さんの言葉と声。
帰ってきたんだ…。そんな気持ちにさせる。
“光”のもとへ、私は帰ってきたんだ。
「どうだったか?“世界”は」
「すごかった。なんか、助けを求めるやつが数え切れないくらいいた。
でも、助けたつもり。…あっちはどうかわかんないけど」
「助かってるよ。美藍さんが助けたって言うんだったら」
晋也さんの質問に私は自信なさげに返すと、町村さんが優しい目をして言ってくれた。