歌姫桜華








「……な、なんですか?」






 振り向いた転校生の顔。



 思わず見とれてしまいそうになった。



 綺麗で長い黒い髪。

 きめ細かい白い肌。

 真っ直ぐな黒い瞳。



 全てが完璧に見えた。






 でも、どこか寂しそうで。


 鋭い目で俺らを見る転校生の手は、少し震えてた気がする。




 見間違い…?いや、確かに震えてた。



 でもその震えは、怖いとかそういうもんじゃなくて、なんか慣れてない…みたいなそんな感じ。




< 505 / 830 >

この作品をシェア

pagetop