歌姫桜華
どうして俺は、八つ当たりなんてしたんだ。
どうして俺は、姉ちゃんに怒りをぶつけたんだ。
どうして―――――――……
言ってしまったこと。やってしまったこと。
もう何もかもなかったことにしたかった。でも、できない。過去に戻れることなんてできっこない。厄介だ。言葉や行動は、消せない。だから、厄介なんだ。
「ごめん…ごめん、姉ちゃっ……」
…俺は、大事なたったひとりの家族を傷つけてしまったんだ。