歌姫桜華
ワンコな彼の唐突な「好き」
「……え?」
空色はもうオレンジ色に染まってて、二つの影が地面にできていた。
私が目を丸くしながら聞き返すと、彼ははぁ…、とため息をついた。
「だから、好きって言ったの」
またしても同じ言葉が耳に入る。
「好き」……?え、なにそれ?いや、ちゃんと意味はわかってますよ?でも………だって、そんな、まさか…っ。
私がずっと黙っていると、彼はフッ…と笑った。その笑顔は、今まで見たことがない程優しくて柔らかい、そんな表情。