歌姫桜華



「なに立ち止まってんの?ほら、学校行こうよ」




「あ、うん!」





 いつの間にか結構先を歩いていた咲久に私は駆け足で追いついた。






 私たちが通っているのは、普通の公立高校。


 最初は、お母さんとお父さんに「常和高校に行け」って言われてたんだけど、常和高校って結構偏差値高いんだよね。それに寮生活だし。



 学力は平均だし、一人で生活なんて絶対できない。



 そう思った私は、家から一番近くの公立高校に決めたんだ。そしたら偶然、咲久も一緒だった…ていうね。







「…朱綾」


「なに?」






「好きだよ」







< 626 / 830 >

この作品をシェア

pagetop