歌姫桜華
「本当…?」
「咲久のせいじゃないって言ってるじゃん。だから、そんな気にしなくていいよ」
もう一度、私は地面に寝っころがり、目を閉じる。
「寝るの?朱綾」
「ううん。目ぇ閉じてるだけ」
「ふぅん」
ねぇ、咲久。私、嬉しかったんだよ?
入学した次の日から、わかりやすいいじめにあって。それでも、さりげなく咲久は私を守ってくれた。私の隣にずっといてくれた。
それが、すっごく嬉しかったんだよ?
―――ありがとう。
決して口には出さないけれど。
だって、恥ずかしいじゃん?