歌姫桜華




 咲久も言葉を発しなくなり、沈黙が流れる。



 でもその沈黙は嫌いじゃない。逆に好き。落ち着く。









「――――――じゃあ、せめてものお詫びに」








 ポツリと小さな声でそう言う咲久の声が、はっきりと耳に届いた。


 え…?お詫び…??




 目だけ咲久の方に向けると、次の瞬間。








 私の頬に生温かい感触が伝わった。







 咲久は私のすぐ隣にいて、すごく近くて。


 感触がなくなった、と思ったら咲久も離れていた。





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