歌姫桜華





「…き、気長に待つ、とか言ってたくせに…」





「待ってるじゃん。





 でも、俺の気持ちも教えないとでしょ?」






 耳元で甘く囁く咲久。その言動に「ひゃ…っ」と声を漏らしてしまった。






「可愛いな、朱綾は」




「か、からかわないでっ!」






 可愛くないし。そんなお世辞ならいらないし。



 ていうか、顔赤くさせないでよね。意識してるって思われちゃうじゃん。




 ばーか。





 ―――でも、胸の中はなぜかドキドキで溢れていた。それは、なんで…?







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