歌姫桜華






 キーンコーンカーンコーン







「あ、予鈴…」




「行こ?朱綾」






 スッと立ち上がった咲久は、私に手を差し伸べた。






「う、うん…」





 いつの間にこんな紳士になっちゃったの?






 知らない君を、昨日から何度も見つける。



 嬉しい反面、どこか寂しい。




 私が知らないところを持ちすぎなんだよ。多すぎなんだよ。


 一番咲久のこと知ってるのは私がいいのに…。





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