歌姫桜華

ワンコと狼、二つの顔







「……ん…」





 やっと意識が回復し、うっすらと目を開ける。




 ヒンヤリとした冷たい床。回りからは数名の気配。




 薄暗いココは、どこ…?





 動こうとすると、あることに気づく。





「…っ、縄…?」





 手足が縄で縛られてる。拘束されてるんだ。







 コツコツ…、と足音が聞こえ、私の横でピタリと止まる。







「お、目が覚めたか」







 頭上から声が聞こえたので、私は目だけ上に向ける。





< 659 / 830 >

この作品をシェア

pagetop