歌姫桜華
「花崗さん、あの女起きましたか?」
奥の部屋から、金髪と赤髪がやってきた。
「あぁ、起きてるよ」
さっきまでの喋り方とうってかわり、震えてしまいそうな低い声で青澤は言った。
「あ、そうだ。お前、名前なに?」
「あんたらに教える名前なんてない」
「強気だねぇ~」
青澤は含み笑いでそう言った。
強気じゃない。本当のことを言ったまでだ。
ここで「雷鳥」なんて言ったら、こいつらどんな顔をするんだろう。