歌姫桜華
何もできない。ケンカが強いわけでもないし、ここから逃げれそうな方法も思いつかない。どうしたらいいの…?
今私がすべきことは、この縄を解くこと。でも、…できそうにない。
「ハハッ、めっちゃ焦ってたな」
「そりゃそうだろ。大事な大事な女を人質にされてんだから」
「まあな♪」
声が響くってことは、どこかの倉庫…?でも、どこの…?
まだ目を閉じたままの私には、もうこれ以上の情報を手に入れるのは難しかった。
仕方ないわ。目を開けましょうか…。
ゆっくりと目を開けていく。怖い以外の感情はどこにもなかった。震える手足。
ねぇ、正義のヤンキー。また、助けに来てくれないの…?
「お、起きたぜ!」
早速気づいた、私を拉致した犯人たち。