歌姫桜華




「び、くりしたー。


 なんだよ」





 私は手を離し、彼は私の方に体を向けた。













「わ、私………出会ったときから、あなたに―――――恋、してたの。

 好き、なの…!」












 緊張はしなかった。言いたかったことだから。でも、恥ずかしくて。拳を強く握る。それでも、目を見て伝えられたことは嬉しかった。



 彼は、一瞬目を丸くして驚くが、すぐに優しげに私を見つめた。





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