歌姫桜華
男二人の声と、女子の声。
全力で走り、やっと人の姿が見えた。
「なあ、一緒に遊ぼうぜ?」
「そんな怖がらなくていいからさ~」
「嫌、やめて…!触らないで……っ」
必死に抵抗する女子は、涙をポロポロと流していた。
青髪と紫髪の二人は、そんな抵抗を無視して女子の腕を掴む。
「チッ、せっかく何もないと思ったのに…」
「昂、行こうぜ」
「あぁ」
機嫌が悪くなった昂と俺は、だんだんとその青髪と紫髪に近づいてった。
できる限り足音を立てず、気配を消して。気づかれないように。