歌姫桜華
「えっと…じゃあ、静久ちゃん。気をつけて帰れよ」
いきなり名前呼びはまずかったかな…?
ま、いっか。
静久ちゃんに背を向けて、昂と一緒に帰ろうとしたところ……
「あ、本当にさっきはありがとう!!
名前……」
「伊島 美橙!」
「み、美橙くん……ありがとう!!」
頬を赤らめ、目には涙がまだ溜まっている静久ちゃん。
最後に言った「ありがとう」と一緒に、見とれてしまいそうな笑顔を向けた。
――ドキン……