歌姫桜華
「……はぁ」
私はひとつため息を吐いた。
もしかして、これが運勢ランキング最下位の理由?
もー、なんでこんな日に限って……。
「はぁー」
さっきよりも長いため息をつきたくなる気持ちをわかってほしい。
「待ち合わせ時間までまだ30分もあるし、…確かめて本当に危険だったら、懲らしめればいいか」
あの男二人組がこれから行く場所が、近ければいいんだけど。
間に合わないようだったら、和也に連絡を入れればいい話だ。
平和を乱すようなら、容赦しない。
私は静かに、気づかれないように、悟られないように
男二人組のあとを追った。
何もありませんように。ライブとか映画とか、そんな危険感がまるでないものでありますように…!
そんな願いを唱えながら、ゆっくりと歩き出す。
桜華としての勘は、的中率100%なことを忘れて。