歌姫桜華




 カクテルか何か?


 それとも、……本当にそのままの意味で“心狂う雪”?




 それってやっぱり―――。





「少々お待ちを」




 5分ほどしたら、店員が男二人に“心狂う雪”を渡した。





「…!」




 横目でそれを見てみると、残念なことに予想は当たっていた。


 ……あれは、





 ――心狂う雪……麻薬だ。





 白い粉が透明な小さな袋に入っていて、それを手にした男らはニヤリと笑っていた。


 麻薬だって確証はないけれど、どう見てもそうとしか考えられない。



 ここは病院でもなんでもないし、それに名前が“心狂う雪”だし。




 ここは、麻薬が取引されたり売られたりする、裏の世界では有名な店なのかもしれない。


 それなら、黙って見れるわけにはいかない。






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