歌姫桜華
「…はぁ。もしかして、こいつらのお仲間さん?」
私は床で倒れている四人を指差しながら聞いた。
彼らはそうだそうだと、言うように笑った。
「仲間を痛めつけてくれたお礼に、俺らがお前を痛めつけてやるよ」
「女一人相手に、10人以上で?
あんたら、すごく弱いんだね」
「チッ。生意気言ってられるのも今のうちだぞ」
最近平和だな、って昨日思ってたけど、全然違った。
平和に“見えていた”だけだった。
ちょっとちょっと、龍華と甲羅のみなさん?全然平和じゃないじゃん。ちゃんとパトロールしてんの?
「だったら、さっさとすませちゃおうよ。私、急いでるんだけど」
「っ、さっきからムカつく女だぜ」
ムカつく女で結構。
私は、気づかれないようにため息をこぼした。