歌姫桜華





「すぐ終わらせてやるよ」





 私は彼らにそう言って、“おいでおいで”と手で挑発した。





「チッ!おめぇら、行くぞ!!」




 その大きな声で、彼らは一気に私に襲いかかった。


 手にはナイフや鉄パイプや……、とりあえず手ぶらな人は誰もいない。



 素手で戦おうって思ってる人がいないんだね。悲しいな。





 素手なら、ちょっとはマシな気分だったかもしれないのに。






「おりゃああぁあああぁぁあ!!」



 叫ぶ声だけは立派ですね。


 でも、振り落とす腕も、気迫も、全然喧嘩初心者並。



 美橙の方が、もっと気迫あるし、攻撃するスピードも速いよ?


 ちょっとは見習えば?





 私は、余裕の笑みをこぼした。


 平和を願う私としては、こんなしょうもないこと、しないで欲しいんだけどね。






< 800 / 830 >

この作品をシェア

pagetop