歌姫桜華
「転ばねぇしー」
そう言って前を見た瞬間、足が石につまづき転びそうになった。
「ほら、言ったでしょ?」
「う、うっせーな!」
「ダサいですね、奏多」
「くそぉぉ」
俺は恥ずかしくて、そのまま紺を置いて学校へ走っていった。
――放課後。
「紺、駄菓子屋寄って帰ろうぜー」
「毎日のように寄ってますよね」
「いいじゃんいいじゃん」
「しょうがないですね…」
学校帰り、通学路の途中にある駄菓子屋に寄るのが最近の日課。
そして、駄菓子屋で買ったお菓子を、駄菓子屋の隣の公園で食べてから帰るんだ。