歌姫桜華
「うっ……ひっく、」
小さく聞こえてくる少女の泣き声に、胸が苦しくなる。
大丈夫かな?
「声かけてみようぜ」
「そうですね」
このまま帰ったら、気になって眠れないかもしれねぇし。
それに、心配だし。
「なあ、大丈夫か?」
俺らは女の子に近寄って、優しく声をかけた。
女の子はビクッとして、俺らのほうを向いた。
――ドキ…
その女の子は、とても可愛かった。
目が大きくて、肌が白くて、顔が小さくて、手足が細くて……。
って、何俺、ガン見してんの!?うわ、はず……。
「どうかしたんですか?」
紺も俺に続いて、優しく尋ねた。