歌姫桜華
「いやぁ、まだまだだよ。ぴったり半分に折れたらすっごくかっこよかったのになぁ」
「まったく…すげぇな、美藍ちゃんは」
今の自分に満足せずに、上を目指している姿がかっこよくて。
俺もそんな人間になりたい、そう強く思った。
「目標があるからさ」
「目標?」
「なんですか?その目標って」
美藍ちゃんは小さく微笑みながら、言った。
「龍華の総長になって、助けを求めてる人を助けたり笑顔にしたいの。この街から“危険”や“苦しみ”をなくして、平和にしたいんだ」
かっこいい…。
そう言いそうになった。
どこまでも優しいんだな、美藍ちゃんは。
美藍ちゃんなら、いつかその目標を夢を、実現させてくれる。
なんの根拠もないけれど、心の底からそう思った。
「俺らも、美藍ちゃんを見習わなきゃですね」
「そうだな」
美藍ちゃんには聞こえないように、俺らはそう言った。