歌姫桜華




 力でも負けてるのに、心では負けてたまるかよ。


 きっとそのときから、俺の目標は、美藍ちゃん以上に強く輝く人間になることになったんだ。





「あ、今何時!?」



「えーっと…、4時半すぎ…くらいでしょうか」



「うそ!やばいやばい、集会に遅れちゃう」




 集会?もしかして、龍華の集まりとかあるのかな?


 慌てる美藍ちゃんを見て、俺は笑う。




「ははっ。慌てすぎだろ」



「だ、だってぇ……遅刻すると、怒られちゃうから…。
 ごめん、私、行くね」



「おう」


「また会えたら、スゴ技、また見せてくださいね」



「また遊ぼうな!」




 俺と紺は大きく手を振った。美藍ちゃんが見えなくなるまで振り続けた。




「うん!またね!!!」



 美藍ちゃんは俺らにそう言いながら、走っていた。





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