歌姫桜華
「すごい女の子でしたね…」
帰り道、紺が唐突に呟いた。
「だな…。美藍ちゃんか~。また会いてえな」
「一目惚れ、ですか?」
「なっ、ち、ちが…っ!!」
…うのか?
違わないのか?
あーー!自分の気持ちが、わかんねぇ!
だけど……――
ふと夕暮れのオレンジ色の空を見上げてみた。
そのオレンジは、いつもより明るく見えた。
「美藍ちゃんはさ…、今まで会ったどの女の子よりも、魅力的っつーか…あー!何言ってんだ、俺」
俺は頭を抱えて、叫んだ。
そんな俺を見て、紺がフッと笑う。
「それじゃあ、俺と一緒ですね」
「え…?そ、それって……」
紺も――――。