歌姫桜華
「ほら、止まってないで行きますよ」
笑みをこぼしながら、紺は俺の先を歩く。
「お、おい!今のどういうことだよ…!」
「今のって、なんですか?」
「とぼけんなって!」
なんなんだよ、まったく。
紺って意外と秘密主義なんだよなぁ。
ずりぃよ、俺のことはまるわかりなのによ。
今日は、衝撃的な一日だ。
「美藍ちゃんと、また会えますかね」
「いつか会えるだろ」
いつか、きっと――。
縁って、運命って、信じればきっと。
会えるから。
美藍ちゃんも、そう思ってくれてるかな。