歌姫桜華
――それから美藍ちゃんと会うこともなく、高校生になった。
「なあ、紺」
「はい?」
「あのスゴ技見せてくれた女の子、覚えてるか?」
「あー…えっと、名前、なんでしたっけ?」
「俺も忘れたんだけどよ、結局あれ以来だったよな」
「そうでしたね」
桜が、風にそよがれて、儚く散っていく。
あの子のようになりたいと、強く思ったんだっけな。
「今あの子にあったら、勝てっかな?」
「さあ?負けるかもしれませんよ」
「甲羅の幹部でもか?」
「あの子、相当の強さの持ち主だったじゃないですか」
「まあな」
さあ、信じていた縁や運命を、たくりよせよう。
再開の瞬間は、刻々と近づいてきている――――
<END>