気づかないスキ。
癸生と季市
「ねぇねぇ葵衣ぃー♪」



「なにー?」



「まだ葵衣には好きなひとが出来ないのぉーん♪?」



「え…?…えと…で、出来ないよ?」



はあ…



またこの質問…



何回めだろう…



出来ないってなんべんも言ってるのに…



でも、き、葵衣だって、作りたいっっ!!



そう心の中で叫んでいた。



今年で二年生になる。



わたし、香野葵衣は未だに好きなひとが出来ない。



いや…どうやって好きになるかさえわからない。



まだまだお子ちゃまだし…



カレカノ関係なんて、夢みたいな世界だよー!!!



「ねぇ、葵衣ぃ?ゆらの話 聞いてる?」



はっとなって、話を全く聞いていなかったことに気が付いた。



「えっ……あっ……ももももう一回っ!」



手を合わせてお願いしてみた。



「もう仕方ないなぁ~」



なんて怒った顔のゆらも、本当に可愛い。



髪の毛がふわふわで、目もぱっちりしていて、美少女である。



噂によれば…ううん。実際にも凄くモテてる。



たぶん学年のなかで一番なんじゃないかなあー



そんなゆらにも好きなひとがいるんだと!

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