異世界で家庭菜園やってみた
「明日、行こうと思います」
外務部に出かける前、ウリエルはコウメさまの元を訪れた。
コウメさまは編み物の手を止め、ウリエルを見た。
「疲れた顔をしているわね」
「そう、でしょうか?」
「旅の疲れ、という訳ではなさそうね。ユーリと何かあった?」
「……おばあさまには、隠し事は出来ませんね」
「あら。しようと思う方が間違っているわ。大丈夫なの?」
「ええ。俺が自爆しただけだから……」
コウメさまは小さく目を瞠ると、「まあ」と言って、くすくす笑った。
「何も笑うことはないでしょう」
「お前もまだまだ若くて、不器用ね。ウリエル」
「……まあ、ことユーリに関することでは、自分でも辟易するくらい不器用ですよ」
コウメさまは余程可笑しかったらしく、まだくすくす笑っている。
「では、俺はそろそろ……」
これ以上針のむしろは嫌だと退出しようとするウリエルを、コウメさまは笑いながら呼び止めた。
憮然とするウリエルに、コウメさまは言った。
「無理やり家族と引き離され、この世界に来たユーリの心に寄り添っておあげなさい。あなたがあの子にとって、家族以上の存在になれば、きっと受け入れてくれるでしょう」
その言葉に、ウリエルははっとした顔をした。
「おじいさまは、おばあさまにとって、そんな存在だったのですか?」
「ええ。あの方は、わたくしにとって、唯一無二の、運命の相手でしたからね」
「……」
ウリエルは頭を下げ、何も言わず出て行った。
自分が悠里にとって、運命の相手などというものではないだろうことを確信しながら……。
外務部に出かける前、ウリエルはコウメさまの元を訪れた。
コウメさまは編み物の手を止め、ウリエルを見た。
「疲れた顔をしているわね」
「そう、でしょうか?」
「旅の疲れ、という訳ではなさそうね。ユーリと何かあった?」
「……おばあさまには、隠し事は出来ませんね」
「あら。しようと思う方が間違っているわ。大丈夫なの?」
「ええ。俺が自爆しただけだから……」
コウメさまは小さく目を瞠ると、「まあ」と言って、くすくす笑った。
「何も笑うことはないでしょう」
「お前もまだまだ若くて、不器用ね。ウリエル」
「……まあ、ことユーリに関することでは、自分でも辟易するくらい不器用ですよ」
コウメさまは余程可笑しかったらしく、まだくすくす笑っている。
「では、俺はそろそろ……」
これ以上針のむしろは嫌だと退出しようとするウリエルを、コウメさまは笑いながら呼び止めた。
憮然とするウリエルに、コウメさまは言った。
「無理やり家族と引き離され、この世界に来たユーリの心に寄り添っておあげなさい。あなたがあの子にとって、家族以上の存在になれば、きっと受け入れてくれるでしょう」
その言葉に、ウリエルははっとした顔をした。
「おじいさまは、おばあさまにとって、そんな存在だったのですか?」
「ええ。あの方は、わたくしにとって、唯一無二の、運命の相手でしたからね」
「……」
ウリエルは頭を下げ、何も言わず出て行った。
自分が悠里にとって、運命の相手などというものではないだろうことを確信しながら……。