異世界で家庭菜園やってみた
お茶会がようやくお開きになったのは、日が傾きかけた頃だった。
悠里は正装のドレスを脱ぎ捨て、動き易いワンピースになって、玄関で待つウリエルの元に向かった。
彼も、いつもの普段着に着替えていて、外に出ると一頭の馬が待っていた。
「今日は馬車じゃなく、馬で行こう。せっかくの良い天気だから」
芦毛の馬は、ウリエルの愛馬で、名をジャックというらしい。
「ユーリは俺の前に」
ジャックに跨ったウリエルに手を差し出され、悠里はドキドキしながら、おずおずと手を伸ばした。
ぐいっと馬の背に引っ張り上げられる。
「きゃっ」
落ちそうな気がして、咄嗟にウリエルの腰に手を回した。
けれど、逞しい筋肉を感じてしまい、反射的に手を離してしまった。
ぐらりと傾ぐ遊里の体。
(落ちる!)と思った瞬間、ぐいっと腰を抱かれた。
「落ちるなよ」
悠里の体を囲むように手綱を持って、ウリエルは馬を出発させた。
腰に回された腕は、まだそのままだ。
着痩せするのか、思ったよりも逞しいウリエルの体に、悠里はくらくらだった。
なるべくくっつかないようにと思っても、しっかり抱かれているから、身じろぎすら出来ない。
悠里は諦めて、いつもより一段高い景色を楽しむことにした。
ジャックは優秀な馬なのか。
あまり揺れを感じない。
ゆっくりゆっくり、街道を進んで行った。
「あの、ウリエルさん」
「ん?」
「どこに行くのか、聞いてもいいですか?」
「ああ。おばあさまの機織り工場だよ。一度見ておくといいかなあと思って」
「あ……わたしも、見たかったの」
「だろ?」
「あ、ありがとう……」
「うん」
「う」
「う?」
「う、う、う……ウーリエルー」
絞り出すようにした声は裏返り、しかも微妙な感じ。
ウリエルはぷっと吹き出すと、機織り工場に着くまでの間、ずっと肩を震わせ笑っていた。
悠里は正装のドレスを脱ぎ捨て、動き易いワンピースになって、玄関で待つウリエルの元に向かった。
彼も、いつもの普段着に着替えていて、外に出ると一頭の馬が待っていた。
「今日は馬車じゃなく、馬で行こう。せっかくの良い天気だから」
芦毛の馬は、ウリエルの愛馬で、名をジャックというらしい。
「ユーリは俺の前に」
ジャックに跨ったウリエルに手を差し出され、悠里はドキドキしながら、おずおずと手を伸ばした。
ぐいっと馬の背に引っ張り上げられる。
「きゃっ」
落ちそうな気がして、咄嗟にウリエルの腰に手を回した。
けれど、逞しい筋肉を感じてしまい、反射的に手を離してしまった。
ぐらりと傾ぐ遊里の体。
(落ちる!)と思った瞬間、ぐいっと腰を抱かれた。
「落ちるなよ」
悠里の体を囲むように手綱を持って、ウリエルは馬を出発させた。
腰に回された腕は、まだそのままだ。
着痩せするのか、思ったよりも逞しいウリエルの体に、悠里はくらくらだった。
なるべくくっつかないようにと思っても、しっかり抱かれているから、身じろぎすら出来ない。
悠里は諦めて、いつもより一段高い景色を楽しむことにした。
ジャックは優秀な馬なのか。
あまり揺れを感じない。
ゆっくりゆっくり、街道を進んで行った。
「あの、ウリエルさん」
「ん?」
「どこに行くのか、聞いてもいいですか?」
「ああ。おばあさまの機織り工場だよ。一度見ておくといいかなあと思って」
「あ……わたしも、見たかったの」
「だろ?」
「あ、ありがとう……」
「うん」
「う」
「う?」
「う、う、う……ウーリエルー」
絞り出すようにした声は裏返り、しかも微妙な感じ。
ウリエルはぷっと吹き出すと、機織り工場に着くまでの間、ずっと肩を震わせ笑っていた。