異世界で家庭菜園やってみた
2.状況把握
アシュラムはスプーンを置くと、両手を組み合わせて真っ直ぐに悠里を見た。
彼の宝石のような瞳の直撃を受け、我知らず顔を赤らめる悠里。
そんな悠里に構わず、アシュラムは一語一語確認するようにゆっくり話し始めた。
しーんとしている食堂に、アシュラムの声が妙に響いて聞こえる。
そんな彼の話は、悠里の想像力を遥かに超えた物だった。
***************
ここは、ディント王国。
世界の国々の中でも古い歴史を持っている。
数多の戦乱をうまく回避しながら、現代まで国を存続させてきた。
そして建国の頃から変わることなく、一つの王家が続いているのだという。
それは非常に稀なことであり、他国から特別な扱い(例えば国の首脳同士の会議の際には上座に列せられる)を受けている。
しかし、この国には目立った産業がなく、土地が痩せているので農作物も育ちにくかった。
そのせいで国自体は、それほど豊かではない。
そんな国が、他国から一目置かれるくらい存続出来たのは何故か。
それは、この国の王族が持つ不思議な力に因っていた。
異世界から人を召喚するという力である。
王族に不思議な力を持った人間が産まれることは、さして珍しいことではない。
人の心が読めたり、占いに長けているといった類の力である。
だが、異世界から人を召喚出来るくらいの強大な力を持った人間が産まれる確率は、それほど高くはなかった。
数十年に一度、あるいは数百年に一度。
国民はその力を持った赤ん坊が産まれるのを、ひたすら待ち続けるのだ。
そして待望の赤ん坊が産まれた暁には。
国によって手厚く保護される。
神を祀る神殿に隔離され、そこで特別な教育が施される。
王族としてではなく、神官として。
その人物が召喚の秘術を行う力を十分なものにした時。
ついに異世界から人が呼ばれる。
そうやって召喚された異世界の人間は、必ずこのディント王国に大きな恩恵をもたらしてくれるらしい。
そうやって、ディント王国はこの世界にあり続けている……。
彼の宝石のような瞳の直撃を受け、我知らず顔を赤らめる悠里。
そんな悠里に構わず、アシュラムは一語一語確認するようにゆっくり話し始めた。
しーんとしている食堂に、アシュラムの声が妙に響いて聞こえる。
そんな彼の話は、悠里の想像力を遥かに超えた物だった。
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ここは、ディント王国。
世界の国々の中でも古い歴史を持っている。
数多の戦乱をうまく回避しながら、現代まで国を存続させてきた。
そして建国の頃から変わることなく、一つの王家が続いているのだという。
それは非常に稀なことであり、他国から特別な扱い(例えば国の首脳同士の会議の際には上座に列せられる)を受けている。
しかし、この国には目立った産業がなく、土地が痩せているので農作物も育ちにくかった。
そのせいで国自体は、それほど豊かではない。
そんな国が、他国から一目置かれるくらい存続出来たのは何故か。
それは、この国の王族が持つ不思議な力に因っていた。
異世界から人を召喚するという力である。
王族に不思議な力を持った人間が産まれることは、さして珍しいことではない。
人の心が読めたり、占いに長けているといった類の力である。
だが、異世界から人を召喚出来るくらいの強大な力を持った人間が産まれる確率は、それほど高くはなかった。
数十年に一度、あるいは数百年に一度。
国民はその力を持った赤ん坊が産まれるのを、ひたすら待ち続けるのだ。
そして待望の赤ん坊が産まれた暁には。
国によって手厚く保護される。
神を祀る神殿に隔離され、そこで特別な教育が施される。
王族としてではなく、神官として。
その人物が召喚の秘術を行う力を十分なものにした時。
ついに異世界から人が呼ばれる。
そうやって召喚された異世界の人間は、必ずこのディント王国に大きな恩恵をもたらしてくれるらしい。
そうやって、ディント王国はこの世界にあり続けている……。